年齢を重ねるごとに、私たちの体は少しずつ変化していきます。体力の低下や筋力の衰えは広く知られていますが、実は内臓の働きもまた例外ではありません。とくに「消化器」は、加齢の影響を受けやすい部位のひとつです。
「最近、食後に胃がもたれる…」
「お通じがスッキリしない」
「以前より食べられる量が減った」
──そんな体のサインに心当たりはありませんか?それらは、加齢に伴う消化器の変化によって起こっているかもしれません。
この記事では、年齢とともに変化する消化器の働きについて詳しく解説するとともに、日常でできるケア方法を4つの柱でわかりやすくご紹介します。生活習慣のちょっとした見直しで、消化器の健康を保ち、年齢に負けない健やかな毎日を目指しましょう。
加齢によって消化器はどう変わる?
消化に必要な機能がゆるやかに低下
加齢により、胃や腸、肝臓などの働きが少しずつ低下します。たとえば胃酸の分泌が減少することで、食べ物の消化が不完全になったり、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が弱まることで便秘になりやすくなったりします。
腸内環境のバランス変化も
また、腸内に存在する善玉菌と悪玉菌のバランスも年齢とともに変わることが知られています。善玉菌が減少すると、便通の悪化や免疫力の低下にもつながりやすくなります。
消化器の変化が全身に影響することも
消化機能が落ちると、栄養吸収の効率が下がるだけでなく、食欲の低下や体重の減少、筋肉量の減少(サルコペニア)にもつながります。つまり、消化器の健康は「全身の健康」に直結しているのです。
第1章:消化能力の低下に備えた食事の工夫
まずは食べ方を見直そう
加齢によって消化酵素の分泌や胃酸の分泌が低下すると、若いころと同じような食事内容や量でも胃腸に負担がかかりやすくなります。そのため、まず見直したいのが「食べ方」です。
- 一口ずつよく噛む
- 食事の時間をゆっくり取る
- 1日3食を規則正しく
これだけでも、消化器にかかる負担を減らすことができます。
食材選びもポイント
次に重要なのは、選ぶ食材です。消化しやすいものを中心にすることで、胃腸への負担を軽減できます。たとえば以下のような食材がおすすめです。
分類 | おすすめ食材 | 避けたい食材 |
---|---|---|
野菜 | にんじん、大根、かぼちゃ、ほうれん草(火を通す) | ごぼう、れんこん、生野菜(大量) |
果物 | りんご、バナナ、桃(完熟) | 柿、パイナップル(食べすぎ注意) |
たんぱく源 | 白身魚、豆腐、鶏むね肉(脂身少) | 脂身の多い肉、揚げ物 |
食事の温度や調理法にも気配りを
食事の温度が熱すぎたり冷たすぎたりすると、胃腸がびっくりしてしまいます。できるだけ「常温〜ぬるめ」に整えるのがよいでしょう。また、煮る・蒸す・茹でるといった調理法は、油も少なく消化にやさしいのでおすすめです。
当院では、年齢とともに変化する消化器の状態に応じた診療を行っています。症状が軽いうちにご相談いただくことが、健康維持の第一歩です。
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第2章:便秘予防のための繊維と水分の摂取
年齢とともに便秘が増える理由とは
年を重ねると便秘になりやすくなる方が増えます。これは腸の動きが弱くなるだけでなく、筋力の低下や水分摂取量の減少、さらに活動量が減ることによって起こりやすくなるためです。
食物繊維の重要性
便秘予防に欠かせないのが「食物繊維」です。とくに高齢になると、便のカサが減りやすくなるため、繊維質の食材をしっかり摂ることが必要です。
- 水溶性食物繊維:海藻、こんにゃく、オクラ、モロヘイヤなど
- 不溶性食物繊維:ごぼう、豆類、全粒粉のパンなど
水溶性と不溶性をバランスよく取り入れることが、スムーズな排便を促します。
水分摂取も欠かせない
便秘の原因として、水分不足も見逃せません。1日1.5〜2リットルの水分を「こまめに」摂ることが大切です。起床時、食事中、入浴前後、就寝前などに意識的に水を飲むよう心がけましょう。
とくに高齢者の方は喉の渇きを感じにくくなる傾向があります。喉が渇いていなくても、時間を決めて水を飲むことが大切です。
朝の水+腸にやさしい食品で快便習慣を
朝にコップ1杯の水を飲み、その後にヨーグルトやキウイ、プルーンなどの「整腸食材」を摂ることで、腸のスイッチが入りやすくなります。
便通の変化や消化の違和感が気になる方は、消化器の働きについて基本から見直してみるのもひとつの手です。
▶胃と大腸のよくある疑問に答えます|消化器の健康を守るための基礎知識
第3章:消化器がんのリスクを減らす生活習慣
早期発見・早期治療が何より重要
消化器がんは、胃がんや大腸がんなどを指しますが、初期には自覚症状が少ないこともあります。そのため、定期的な検査を受けることがとても大切です。
「痛みがないから大丈夫」と思っていても、知らないうちに病気が進行しているケースもあるため、症状がないときこそ、検査のチャンスと考えてください。
生活習慣の見直しが予防につながる
がんの発生リスクを高める習慣には以下のようなものがあります:
- アルコールの過剰摂取
- 喫煙
- 脂質の多い食事
- 野菜や果物の摂取不足
これらを見直すことで、消化器がんだけでなく生活習慣病の予防にもつながります。とくに野菜中心の食生活は、がんの予防に非常に効果的とされています。
検診は「気になるとき」より「決まったときに」
消化器がんの予防には、「気になったときに行く」のではなく、「定期的に受ける」ことが大切です。特に50歳を過ぎたら、年に1回の内視鏡検査を習慣づけることをおすすめします。
胃カメラや大腸カメラは、「つらい」「大がかり」なイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし現在では鎮静剤を用いた苦痛の少ない検査体制が整っており、安心して受診いただける環境が整っています。
当院では、24時間WEB予約など、ご都合に合わせた体制を整えております。忙しい方でも受診しやすいようサポートしていますので、お気軽にご相談ください。
第4章:適度な運動で腸を活性化
腸の動きは「筋肉」と「刺激」で保たれる
腸は筋肉でできており、運動によって腸のぜん動運動が刺激され、便通もスムーズになります。また、腹筋や背筋を使う軽い運動は、便を出すための「押し出す力」にもつながります。
日常に取り入れやすい運動例
激しい運動をする必要はありません。以下のような手軽な運動でも十分効果があります。
- 朝の散歩(15分〜30分)
- 階段を使う習慣をつける
- おなかをへこませる「腹式呼吸」
- ストレッチや体操(ラジオ体操など)
座りすぎに注意
とくにデスクワークやテレビ鑑賞など、長時間座りっぱなしの生活は便秘や消化不良の原因になります。1時間に1回は立ち上がる、こまめに体を動かすなどの工夫を取り入れましょう。
まとめ:年齢とともに、消化器ケアも見直しを
消化器の働きは、加齢によって少しずつ変化していきます。しかし、日々のちょっとした工夫と意識の積み重ねで、快適な消化と排便を維持することは十分可能です。
以下の4つの視点を意識して、毎日の生活を見直してみましょう。
- 消化にやさしい食事を選ぶ
- 繊維と水分を意識的に摂る
- がん予防のために定期検診を
- 適度な運動で腸を刺激する
特に、検診は自覚症状がないうちに受けることで、将来の健康リスクを大きく下げることができます。今の自分の体の状態を知ることが、「これからの安心」につながるのです。
当院のサポート体制
当院では、消化器内科を中心に、胃や腸の不調・便通のお悩み・がんの早期発見まで、幅広く対応しています。土日診療や24時間WEB予約にも対応しており、忙しい方にも安心してご利用いただけます。
一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
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(受付時間:9:00〜17:00)
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秋葉原・胃と大腸肛門の内視鏡クリニック 千代田区院 >>
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