
腸とはどんな臓器?
私たちの身体の中には、約9メートルにもおよぶ「腸」が存在しています。この腸は、ただ食べ物を分解・吸収するだけでなく、体内のさまざまな機能に関与する極めて重要な臓器です。実際、腸は「第二の脳」とも呼ばれ、思っている以上に多彩な役割を担っています。
小腸では、栄養素のほとんどが吸収され、糖質・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどが体に取り込まれます。一方、大腸では主に水分と電解質の吸収が行われ、便が形成されていきます。
また、腸には1000種以上・100兆個を超える腸内細菌が生息し、免疫やホルモンバランス、さらには感情にも関わるなど、全身の健康を支える「司令塔」として機能しているのです。
腸内フローラとは?バランスが崩れるとどうなる?
腸の中には膨大な種類の細菌が存在し、その集合体は「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。「フローラ」とはラテン語で「花畑」を意味し、腸の中にまるで花が咲き乱れるように細菌が生息している様子を表しています。
腸内フローラの主な分類
分類 | 代表菌 | 特徴・働き |
---|---|---|
善玉菌 | ビフィズス菌、乳酸菌 | 消化吸収の補助、病原菌の抑制、免疫活性化 |
悪玉菌 | ウェルシュ菌、大腸菌(有害株) | 腐敗物質やガスを発生、腸内環境の悪化 |
日和見菌 | バクテロイデス、大腸菌(無害株) | 善玉菌が優勢なら良い働き、悪玉菌が増えると悪影響 |
この腸内フローラのバランスが崩れることで、以下のような症状が現れることがあります:
- 便秘や下痢が慢性化する
- ガスがたまりやすくなり、お腹が張る
- 肌荒れやニキビなど、皮膚トラブルが増える
- 風邪を引きやすくなるなど、免疫力の低下
- うつ・不安感など、感情の不安定さ
つまり、腸内フローラは見えないけれども、私たちの体調や気分に密接に関わる存在なのです。
腸とストレスの密接な関係
実は「緊張したらお腹が痛くなる」「ストレスで下痢になる」という経験は、多くの人に見られる現象です。これは偶然ではなく、腸が「ストレスの影響を非常に受けやすい器官」であることを示しています。
腸と脳のコミュニケーション:腸脳相関
腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれる仕組みでつながっており、自律神経やホルモン、免疫物質を介して相互に影響を与え合っています。
ストレスが加わると、脳からの信号が自律神経を通じて腸に伝わり、腸の動きが鈍くなったり、過敏になったりします。これにより、過敏性腸症候群(IBS)や一時的な便秘・下痢が起こるのです。
また、ストレスによって腸内の善玉菌が減少し、悪玉菌が増加することで、腸内環境が悪化し、体調全体に悪影響が及ぶこともあります。
腸の健康を左右する「食事」
腸の健康を保つために、毎日の食事は最も重要なファクターのひとつです。特に次のような栄養素や食品群が注目されています。
腸を元気にする栄養素と食品
- 食物繊維:便のかさを増やし、腸のぜん動運動を促進(野菜、海藻、豆類、きのこ)
- 発酵食品:善玉菌を直接補給(ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、味噌)
- オリゴ糖:善玉菌のエサになり腸内で活性化(バナナ、ごぼう、大豆製品)
- 水分:水分不足は便秘の大敵。こまめな水分摂取を心がけましょう
反対に、脂肪分の多い食品やスナック菓子、加工食品、アルコールやカフェインの過剰摂取は腸内環境を悪化させる要因です。
腸を整える生活習慣の工夫
食事と並んで重要なのが、日々の生活習慣です。腸は規則正しいリズムを好む臓器。以下のような工夫が腸の健康をサポートします。
- 毎朝同じ時間に起きて朝食を摂る
- 適度な運動(ウォーキング・ヨガ)
- 腸マッサージや腹式呼吸で自律神経を整える
- しっかりと湯船につかり体を温める
- 毎日1回、排便習慣を意識
特に朝の時間帯は腸の活動が活発になるため、朝食・水分補給・軽い運動などを意識することで、腸のリズムを整えることができます。
腸は「免疫の中枢」でもある
腸には、人体の免疫細胞のうち実に約70%が存在していることをご存じでしょうか?腸の粘膜には「パイエル板」と呼ばれる免疫組織があり、体内に侵入しようとするウイルスや細菌、有害物質をいち早くキャッチして排除しようとします。
つまり、腸は“最大の免疫器官”とも言える場所なのです。
腸の免疫が落ちるとどうなる?
- 風邪やインフルエンザにかかりやすくなる
- 食物アレルギーや花粉症が悪化しやすくなる
- 自己免疫疾患(潰瘍性大腸炎や関節リウマチ)と関連が深いとも指摘されています
腸内環境を整えることは、単なる便通改善だけでなく、全身の免疫を高める基礎づくりでもあるのです。
腸は「ホルモン」にも関与する?
腸内細菌は、セロトニンなどの神経伝達物質やホルモンの産生にも関係していることが近年の研究で分かってきました。
腸で作られる代表的なホルモン
- セロトニン:「幸せホルモン」と呼ばれ、気分や睡眠に深く関わる
- GLP-1:満腹感を高めるホルモンで、食欲抑制や糖尿病治療にも活用される
実にセロトニンの90%以上が腸で作られているとされており、腸の状態が「心の安定」と直結していることがわかります。
腸活ブームの背景と実際のやり方
「腸活(ちょうかつ)」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。テレビや雑誌でも頻繁に取り上げられ、「腸を整えれば健康になる」という考え方は、一般にも広く浸透してきました。
腸活の目的とは?
腸活とは、腸内環境を整えることによって、便通の改善、免疫機能の向上、美肌、メンタルの安定などを目指す健康法です。
すぐに始められる腸活
- 毎朝コップ1杯の白湯を飲む
- ヨーグルトにバナナやきなこを加える(オリゴ糖×乳酸菌)
- 夜はぬるめのお風呂にゆっくりつかる
- 食事は腹八分目、咀嚼を丁寧に
- 寝る前のスマホを控え、良質な睡眠を意識する
無理なく、毎日の習慣に「ちょっとした工夫」を加えるだけでも、腸の調子は変わってきます。
年代別:腸の悩みと対策ポイント
腸の不調は年齢によって傾向が異なります。自分のライフステージに合ったケアを意識することが、腸活を長続きさせるコツです。
10代〜20代
- 不規則な食事・過剰なダイエットによる便秘
- ストレスからくる下痢や腹痛(過敏性腸症候群)
対策:三食をきちんと摂り、朝食で排便リズムを整えることが重要です。
30代〜40代
- デスクワークによる運動不足や腸の運動低下
- 外食・飲酒が増え、悪玉菌が優位になる
対策:軽い運動やストレッチを日常に取り入れ、発酵食品や食物繊維を意識的に摂るようにしましょう。
50代以降
- 腸の蠕動運動が低下しやすくなる
- 大腸がんなど腫瘍性疾患のリスクが上昇
対策:定期的な大腸内視鏡検査や、腸内細菌バランスのチェックが推奨されます。
「何科に相談すればいいの?」と迷ったら

腸の不調があっても、内科・消化器内科・心療内科など、どこに相談すべきか迷う方も多いと思います。当院では、消化器を専門とする医師が、便通や腸の不快感だけでなく、食事・生活習慣・ストレスなども総合的に評価しながら診察を行っています。
必要に応じて内視鏡検査、栄養相談、薬の処方など、専門的なサポートが可能です。
「気になる」と思ったときが受診のタイミングです
腸の違和感は、最初は些細な変化として現れます。ですが、放置すると慢性化し、検査や治療が必要になるケースも少なくありません。
秋葉原・胃と大腸肛門の内視鏡クリニック 千代田区院では、土日診療・女性医師対応・鎮静下内視鏡など、患者様の安心を第一に考えた医療を提供しています。
お電話でのご予約も可能です
(受付時間:9:00〜17:00)
腸の健康を守ることは、あなたの未来の健康を守ることにつながります。
体の内側から整える第一歩として、ぜひこの機会に腸の状態を見直してみませんか?
施設紹介
秋葉原・胃と大腸肛門の内視鏡クリニック 千代田区院 >>
ホームページ https://www.akihabara-naishikyo.com/
電話番号 03-5284-8230
住所 東京都千代田区神田佐久間町1-13 チョムチョム秋葉原ビル9階
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