アキバ内視鏡お困りQ＆A

1章　腸内フローラとは？｜体の内側で働くもうひとつの生態系

1-1　腸内フローラとは何か？

私たちの腸内には、数百種類、数十兆個ともいわれる細菌がすみついています。この集団は「腸内細菌叢（ちょうないさいきんそう）」と呼ばれ、花畑（flora）のように見えることから、腸内フローラと呼ばれるようになりました。

腸内フローラは、消化吸収を助けるだけでなく、ビタミンの生成、免疫の維持、炎症の抑制、さらには自律神経や脳との関係も深く、全身の健康に影響を与える重要な存在です。

1-2　腸内細菌の種類と役割

腸内細菌は、大きく分けて以下の3つのタイプに分類されます。

• 善玉菌：健康を維持する働きを持ち、ビフィズス菌や乳酸菌などが代表格
• 悪玉菌：腸内で有害な物質を生成し、体調不良の原因になることもある
• 日和見菌：善玉・悪玉のどちらか優勢なほうに傾く、いわば“中立菌”

この3種がバランスよく保たれていることが、腸内環境の良好な状態＝腸内フローラが整っている状態です。

1-3　腸内環境が崩れるとどうなる？

悪玉菌が増えすぎたり、善玉菌が減少したりすると、腸内フローラのバランスが崩れ、便秘・下痢・肌荒れ・疲労感・免疫低下などの不調が現れるようになります。

また、最近では腸と脳が密接につながっている「腸脳相関（ちょうのうそうかん）」という考え方も注目されており、腸内環境の悪化がメンタルヘルスにも影響する可能性があることが示唆されています。

1-4　検査で腸の状態を知ることができます

便通の異常やお腹の張りが続いている場合は、腸の状態を一度チェックすることをおすすめします。当院では、大腸カメラ検査を通じて、腸内の粘膜や炎症、ポリープの有無などを詳細に観察することができます。

内視鏡検査は、腸内環境を正しく知る第一歩です。

2章　腸内フローラと日常生活の関係性｜習慣が腸をつくる

2-1　腸内フローラを乱す主な原因

腸内環境が乱れる要因はさまざまありますが、代表的なものは以下の通りです。

• 不規則な食生活：食物繊維不足や脂質・糖質の過剰摂取が腸に負担をかけます。
• ストレスや心身の疲労：精神的ストレスが腸の動きに影響を与え、善玉菌が減少します。
• 睡眠不足：自律神経の乱れによって、腸内のリズムも狂ってしまいます。
• 抗生物質の服用：病原菌だけでなく、善玉菌まで減少させてしまいます。

このような日々の習慣が、知らず知らずのうちに腸内フローラに悪影響を与えるのです。

2-2　ストレスと腸の意外な関係

「腸は第二の脳」とも呼ばれるほど、ストレスと腸の関係は密接です。ストレスによって腸の動きが抑制されたり、炎症反応が起こりやすくなったりすることもあります。

腸内環境が悪化すると、便秘や下痢だけでなく、消化不良や食欲不振、さらには免疫力低下まで引き起こす可能性があります。心の健康を保つことが、腸の健康にも直結するのです。

2-3　善玉菌が不足するとどうなる？

善玉菌が減ってしまうと、悪玉菌の勢力が強まり、腸内で有害な物質（アンモニアや硫化水素など）が生成されやすくなります。これが原因で

• 便が臭くなる
• お腹が張る
• 免疫が下がる
• 疲れやすくなる

といった影響が出ることもあります。腸内のバランスが崩れることで、全身に不調が波及する可能性があるのです。

2-4　日々の積み重ねが未来の健康を作る

腸内フローラは「一晩で良くなる」ものではありません。食生活・睡眠・運動・ストレス対策といったライフスタイルの積み重ねによって、少しずつ良くなっていきます。

とくに40代以降は腸内の善玉菌が減少しやすくなるため、意識的な対策が大切です。

3章　腸内フローラと病気の関係性｜腸を整えることは病気予防にも

3-1　腸内フローラと免疫の関係

腸は、人体最大の免疫器官ともいわれ、免疫細胞の約70％が腸に存在しています。そのため、腸内フローラのバランスが崩れると、風邪をひきやすくなったり、アレルギー反応が出やすくなったりと、免疫力の低下が生じやすくなります。

反対に、善玉菌が優勢な腸内環境では、外敵に対するバリア機能が高まり、感染症の予防や自己免疫疾患の軽減にもつながる可能性があるといわれています。

3-2　大腸がんとの関係も明らかに

近年の研究では、腸内フローラの異常と大腸がんの発症リスクとの関連が指摘されています。特に、悪玉菌が多く、炎症が慢性化した状態が長く続くと、腸の粘膜にダメージが蓄積し、がん化するリスクが高まると考えられています。

腸内環境の改善は、がん予防にもつながる可能性があるため、日常的に意識しておくべき重要なテーマといえるでしょう。

詳しくは、大腸がんに関する情報ページもご参照ください。

3-3　過敏性腸症候群（IBS）にも関係

腸内フローラの乱れは、過敏性腸症候群（IBS）の原因のひとつとも考えられています。IBSは、ストレスや食事内容によって症状が悪化しやすく、「便秘と下痢を繰り返す」「ガスがたまりやすい」「腹痛が続く」といった症状を引き起こします。

腸内環境を整えることで、これらの症状が軽減する例も少なくありません。日常的な違和感が続く方は、一度内視鏡検査を受けてみることをおすすめします。

3-4　皮膚や精神面にも影響がある？

腸内フローラの乱れは、アトピー性皮膚炎・ニキビ・慢性的な肌荒れなど、皮膚トラブルにも関係するといわれています。また、「腸脳相関」の影響により、うつ症状や不安感などのメンタル面にも影響を及ぼすことがあるという報告も増えています。

つまり、腸内環境を整えることは、体だけでなく心の健康を守る手段にもなり得るのです。

4章　腸内フローラを整える具体的な方法｜今日からできる腸活習慣

4-1　食物繊維を意識して摂る

善玉菌のエサとなる「プレバイオティクス」の代表が食物繊維です。とくに水溶性食物繊維（海藻・大麦・こんにゃくなど）は、腸内で善玉菌を増やし、腸内フローラの改善に役立ちます。

また、不溶性食物繊維（根菜・豆類・きのこなど）は腸のぜん動運動を促進し、便通の改善にもつながります。バランスよく両方の繊維を取り入れることがポイントです。

4-2　発酵食品を日常に取り入れる

ヨーグルト・納豆・味噌・キムチ・ぬか漬けなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、「プロバイオティクス」として腸に直接働きかけます。

生きた菌が腸まで届くことはもちろんですが、たとえ死菌であっても、腸の免疫細胞を刺激して腸内環境に良い影響を与えることがわかっています。

4-3　ストレス管理と良質な睡眠

腸の健康を守るには、脳と腸のバランスを整えることも欠かせません。自律神経の働きが乱れると、腸の動きも鈍くなり、腸内フローラが不安定になります。

リラックスできる時間を確保したり、睡眠時間を一定に保つことで、腸のリズムが安定しやすくなります。

4-4　適度な運動習慣を

ウォーキングやストレッチ、軽いヨガなどの有酸素運動は、腸の動きを活発にし、排便リズムを整える効果があります。便秘が続くと悪玉菌が増えやすくなるため、運動も腸活の一部と考えましょう。

4-5　腸の状態は検査で可視化できる

腸内環境の状態は、便検査や内視鏡検査で客観的にチェックすることが可能です。見えない不調を放置せずに、きちんと向き合うことが健康への第一歩です。

5章　腸内フローラQ&A特集｜よくある疑問にやさしく回答

5-1　Q. 悪玉菌が増えるとどうなるの？

A. 悪玉菌が増えすぎると、腸内で腐敗ガスや有害物質が多く生成され、便秘・下痢・ガス・腹痛などの症状が起こりやすくなります。免疫力が落ちたり、疲れやすくなったりすることもあるため、注意が必要です。

5-2　Q. 腸内フローラのバランスはどうすれば整いますか？

A. プレバイオティクス（食物繊維）とプロバイオティクス（乳酸菌など）の摂取を心がけ、ストレス・睡眠・運動・食事の4要素を意識して整えることが大切です。

5-3　Q. サプリメントは効果がありますか？

A. サプリメントはあくまで補助的なものとして活用しましょう。まずは食事・生活習慣の改善が基本です。そのうえで、腸内環境に合った成分を取り入れるとより効果的です。

5-4　Q. 子どもや高齢者でも腸活は必要？

A. はい、すべての年代で腸内フローラのバランスは大切です。特に高齢になると善玉菌が減りやすくなるため、食物繊維や発酵食品の摂取を意識すると良いでしょう。子どもも偏食を避けて、自然な食事を心がけることが腸を守ります。

5-5　Q. 腸の不調が続く場合、どうしたらいい？

A. 慢性的な便秘・下痢・お腹の張りなどが続く場合は、一度検査で状態を把握することが重要です。当院では初めての方にもわかりやすく、大腸内視鏡検査の流れをマンガで紹介していますので、ぜひご覧ください。

6章　まとめと当院からのご案内｜腸を整えることは、人生を整えること

6-1　腸内環境を整えることで得られるもの

腸は「消化器官」の枠を超えて、免疫・精神・美容・代謝など多岐にわたる働きを担っています。つまり、腸内フローラを整えることは、体全体の健康と直結しているのです。

毎日の食事や習慣を少しずつ見直すだけでも、腸は確実に応えてくれます。便通の改善、肌の調子の向上、気分の安定など、小さな変化が積み重なって大きな違いにつながるのです。

6-2　放置しないで、検査という選択を

「腸の不調は放っておけばそのうち治る」と考えていませんか？実はその違和感の裏には、大腸ポリープや炎症、大腸がんの初期症状が潜んでいることもあります。

とくに40代以降の方や、ご家族に大腸の病歴がある方は、一度検査でチェックすることをおすすめします。

6-3　当クリニックのご紹介

当院は秋葉原駅から徒歩1分の好立地にある、「胃と大腸、お尻の専門クリニック」です。土日も診療・内視鏡検査に対応しており、お忙しい方でもご都合に合わせてご来院いただけます。

24時間WEB予約も可能で、女性医師による診察や院内下剤対応など、安心して受診できる体制を整えています。

腸の不調を感じたら、無理せず、早めにご相談ください。

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（受付時間：9:00〜17:00）