「ピロリ菌」――最近では名前を聞いたことがある方も増えてきましたが、具体的にどのような菌なのかご存じでしょうか?
実は、日本人のおよそ半数以上が感染経験を持つともいわれており、放置していると胃の不調を引き起こしたり、最悪の場合には胃がんのリスクにまでつながることがある細菌です。
本記事では、ピロリ菌の正体から感染経路、症状、検査・治療方法までを専門的な視点からわかりやすく解説します。胃の不調や違和感が続く方、あるいは過去に胃炎や胃潰瘍を経験された方は、ぜひ参考にしてみてください。
ピロリ菌とは?
ピロリ菌ってどんな菌?
ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、胃の粘膜に生息するらせん状の細菌です。胃は強い酸性の胃酸に守られた臓器ですが、この菌は特殊な酵素を持ち、胃の中でも生き延びることができます。
多くは、子どもの頃に口から感染し、そのまま気づかれずに大人になるまで持続感染することが多いとされています。特に、上下水道の整備が不十分だった時代に生まれ育った世代や、兄弟間でコップや箸を共有していた環境では感染率が高かったと考えられています。
どこから感染するの?
感染経路としては、主に以下のようなケースが挙げられます:
- 家庭内での食器や箸の共有
- 井戸水・生水の摂取
- 唾液を介した感染(乳幼児期に大人が噛み与えるなど)
現在の日本では、衛生環境の改善によって子どもの新規感染率は減少していますが、中高年層では高い感染率が依然として続いています。
感染しても気づきにくい理由
ピロリ菌は、感染してもすぐに症状が出るとは限りません。むしろ、多くの人が自覚症状のないまま何年、何十年と体内に菌を抱え続けています。そのため、胃の不調が現れてはじめて検査を受け、感染が判明するケースも少なくありません。
しかし放置していると、胃の粘膜にダメージが蓄積し、胃炎や胃潰瘍、さらにはがんへと進行することも。気づかないまま放っておくことが、後々の大きなトラブルにつながるのです。
ピロリ菌が引き起こす病気
慢性的な胃炎(萎縮性胃炎)
ピロリ菌が胃の中に長期間住み着いていると、胃の粘膜に慢性的な炎症を起こすようになります。これを「萎縮性胃炎」と呼び、文字通り胃の粘膜が委縮し、薄く弱くなっていく状態です。
萎縮性胃炎は、進行すると胃酸の分泌が減少し、消化不良や胃もたれなどの症状があらわれることもあります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
ピロリ菌が出す酵素や毒素によって、胃や十二指腸の粘膜が傷つきやすくなり、潰瘍ができてしまうことがあります。強い胃痛や黒い便(タール便)などの症状があれば、早急な検査が必要です。
胃ポリープとの関係は?
一部の胃ポリープは、ピロリ菌の除菌後に自然に縮小・消失するケースも確認されています。すべてのポリープが除菌の対象となるわけではありませんが、胃の状態を把握するためにも内視鏡検査は有効です。
一見元気でも油断は禁物
「自分は胃の不調を感じないから大丈夫」と思っていても、実は胃の中では静かにダメージが進行していることもあります。特に50代以上の方は、ピロリ菌の有無を確認しておくことが胃の健康を守る第一歩となります。
ピロリ菌と胃がんの関係
胃がんの発生メカニズム
ピロリ菌は、WHO(世界保健機関)でも「確実な発がん因子(グループ1)」に分類されており、胃がんとの関連が非常に強いことが明らかにされています。
感染が長期化すると、慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がんという段階的な変化が起こりやすくなるとされています。
除菌による予防効果
ピロリ菌を除菌することで、胃がんのリスクを大きく下げることができると複数の研究で示されています。特に、萎縮性胃炎が進行する前に除菌することが重要です。
家族歴がある人は特に要注意
ご家族に胃がんを患った方がいる場合、同じような感染環境で育っていることも多く、自身のリスクも高いといえます。早期に検査を受けて、ピロリ菌の有無を確認することをおすすめします。
ピロリ菌の検査方法
検査を受けるタイミングは?
胃の不快感や胃もたれ、空腹時の痛みなどを感じる場合は、ピロリ菌検査を受ける一つの目安です。また、家族に胃がんや潰瘍歴のある方も、感染の有無を調べておくと安心です。
さらに、健康診断や人間ドックで胃の異常を指摘された場合にも、内視鏡検査やピロリ菌検査が推奨されます。
主な検査方法の種類
- 尿素呼気試験:簡便で精度が高い検査法。専用の薬を服用し、呼気に含まれる成分を調べます。
- 抗体検査(血液・尿):ピロリ菌に対する抗体があるかどうかを確認。
- 便中抗原検査:便の中に菌の成分が含まれているかを調べます。
- 内視鏡検査(胃カメラ):直接胃の状態を観察しながら、組織を採取して菌の有無を調べることも可能。
精度や体への負担、費用などを考慮し、医師と相談しながら適切な方法を選ぶことが大切です。
当院では胃カメラによる同時検査が可能です
当クリニックでは、「眠っている間に受けられる胃カメラ」によって、ピロリ菌の検査と同時に胃粘膜の状態を詳しく調べることができます。
必要に応じてその場で生検(組織採取)を行い、正確な診断を行います。
詳しくは胃カメラ検査についての詳細ページをご覧ください。
除菌治療の流れと注意点
除菌の方法とは?
ピロリ菌の除菌治療は、主に抗生物質2種類+胃酸の分泌を抑える薬の3剤を、1日2回・1週間服用する治療法が一般的です。
この組み合わせにより、胃の中で菌の活動を抑えつつ、確実に退治することを目指します。
除菌成功率と再検査
1回目の除菌でおよそ70〜90%の成功率が報告されており、万が一1回で除菌できなかった場合は、薬の組み合わせを変えて2次除菌が行われます。
除菌後には再度検査(主に尿素呼気試験)を行い、確実に菌が消えたかどうかを確認する必要があります。
除菌中の注意点
- 必ず処方通りに薬を服用すること
- アルコールは治療中は控える
- 副作用(下痢、味覚の違和感、発疹など)が出る場合もあるため、体調に変化があれば早めに医師へ相談
除菌後も安心は禁物
除菌後は新たな感染はほとんどありませんが、萎縮性胃炎や腸上皮化生などの変化がすでに起きていた場合には、その後の経過観察が必要です。
年に1回程度、内視鏡検査を継続的に受けることで、胃がんの早期発見にもつながります。
ピロリ菌に関するよくある質問(Q&A)
Q1. ピロリ菌がいても症状がないのですが、除菌は必要?
A. 無症状でも除菌が推奨されます。ピロリ菌は、将来的に胃炎・潰瘍・胃がんのリスク要因となるため、早期の検査と治療が重要です。
Q2. 子どもでもピロリ菌に感染しますか?
A. はい。感染は主に幼少期に起こるとされています。特に家庭内感染のリスクが高いため、保護者に感染歴がある場合は注意が必要です。
Q3. 除菌にかかる費用は?保険は使えますか?
A. ピロリ菌感染が胃炎などの診断とともに確認された場合、除菌治療は保険適用となります。詳しい費用は診療内容により異なるため、当院にお問い合わせください。
Q4. 除菌したら再感染しますか?
A. 基本的に、除菌が成功すれば再感染の可能性は非常に低いとされています。ただし、衛生環境が悪い地域や家庭内感染のリスクが高い場合は注意が必要です。
胃の健康を守るためにできること
腸内環境を整える
ピロリ菌の有無にかかわらず、腸内環境を整えることは胃の健康にも良い影響を与えます。食物繊維や発酵食品を取り入れた食事、規則正しい生活習慣が大切です。
ストレス管理も重要
胃腸の不調はストレスとも密接に関係しています。睡眠不足や過労、精神的なストレスは胃酸の分泌を乱し、粘膜を傷つけやすくします。
定期的な内視鏡検査を
「今は症状がないから大丈夫」と思っていても、胃の中でじわじわと進行している炎症があるかもしれません。定期的な胃カメラ検査は、病気の早期発見に最も有効な手段です。
当院の診療とピロリ菌対応
内視鏡検査の専門クリニックとして
【秋葉原・胃と大腸お尻の内視鏡クリニック 千代田区院】では、消化器内視鏡学会専門医がすべての検査を担当し、胃カメラ・大腸カメラによる詳細な診断を行っています。
眠っている間に受けられる検査のため、苦痛が少なく、初めての方でも安心してご相談いただけます。
ピロリ菌検査も当日対応
当院では、胃カメラとあわせてピロリ菌検査を実施可能です。胃の粘膜を直接観察しながら、必要に応じて組織を採取し、正確な診断とスピーディーな治療につなげます。
平日だけでなく土日も診療
平日はもちろん、土日にも対応しているため、お仕事などで平日の通院が難しい方にも通いやすい体制を整えています。
駅チカの通いやすい立地
秋葉原駅から徒歩1分の立地で、検査当日も移動の負担なく受診いただけます。
ご予約・ご相談はこちらから
「ピロリ菌が気になるけど、どこで相談すればいいの?」という方も、当院では初診から検査・除菌治療まで一貫して対応しております。
当院のピロリ菌専門ページもご覧ください。
胃の違和感、慢性的な胃もたれ、健診での異常をきっかけに、ぜひ一度専門の医師にご相談ください。
当院では3つの予約方法をご用意しています
まとめ|ピロリ菌対策で胃の健康を守ろう
ピロリ菌は、私たちの胃の中で静かに悪さをしているかもしれない“見えない敵”です。症状がないうちは気づきにくく、放っておくと胃がんへと進行するリスクもあります。
しかし、検査と除菌治療によってリスクは大きく軽減できます。定期的な検査と、早めの対応が何よりの予防策です。
「もしかして自分も…?」と思ったら、どうぞお気軽に当院へご相談ください。専門の医師が丁寧に診察し、あなたの胃の健康をサポートいたします。
お電話でのご予約も可能です
(受付時間:9:00〜17:00)
施設紹介
秋葉原・胃と大腸肛門の内視鏡クリニック 千代田区院 >>
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