女性特有の下腹部に違和感や痛みの原因は?
考えられる病気と受けるべき検査について

女性特有の下腹部に違和感や痛みの原因は?考えられる病気と受けるべき検査について下腹部とは、一般的に「お腹」と呼ばれる部分でおへそより下、足の付け根の部分までを指しています。この部分には、大腸や尿管、膀胱、また女性では子宮や卵巣、男性では前立腺や精嚢など、大切な臓器が詰まっている部分ですので、痛みや違和感を覚えるといっても、多くの原因が考えられます。特に女性の場合、子宮や卵巣など女性特有の臓器が下腹部で大きな部分を占めており、婦人科の疾患も考えられるため、注意が必要です。
また、下腹部は体積も大きく、左側と右側、中央部で同じ臓器でも役割が異なる場合もあり、下腹部に痛みがあるといっても、どの場所が痛むのかによって、考えられる疾患は異なってきます。今回は、下腹部でも特に左下腹部の痛みについて説明していきます。
左下腹部が痛む、違和感があるというと、大腸や小腸などの消化管の病気を考えがちですが、骨盤周辺には様々な臓器やそれを支える筋肉などが存在しており、多くの原因が考えられます。

女性の左下腹部には何があるのか

左下腹部には、大腸の下行結腸とS状結腸(結腸から直腸につながる部分)、尿管や膀胱といった泌尿器系臓器などの男女共通の臓器のほかに、子宮や卵巣といった婦人科系臓器も位置しています。
この部分に痛みがある、違和感を覚えるといった場合、まず考えられるのは便秘です。便秘には、腸になんらかの疾患があって起こる器質性のものと、腸の運動機能や知覚機能に問題があって起こる機能性のものがありますが、どちらの場合もS状結腸付近で起こりやすいと言われています。加えて、S状結腸は大腸がんの好発部位でもあります。女性に圧倒的に多い便秘ですが、様々な原因疾患が考えられるため、この部分に違和感や痛みがあり、便秘と下痢を繰り返す、便に血が混じるといった場合は注意が必要になります。

左下腹部に痛みがでる病気について

左下腹部に痛みが生じる場合、様々な原因が考えられます。例えば、便秘や憩室炎などの消化器系の病気だけでなく、生命の危険をもたらす可能性のある大腸がんも考えられます。

便秘

便秘左下腹部痛が起こる原因のなかでも最もポピュラーなものが便秘です。便秘には腸に炎症や腫れといった器質的な疾患が特に見当たらず、腸の運動機能や知覚機能に問題があって起こる機能性便秘と、腸に炎症や腫瘤など目に見える疾患があって起こる器質的便秘があります。
どちらの場合でも、排便まで一時的に便を溜めておくS状結腸が原因となることが多いため、左下腹部の違和感や痛みが現れやすくなります。
便秘は、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と、慢性便秘症診療ガイドラインには定義されています。本来、排便の回数や量には大きく個人差があり、こうであれば便秘であると明確にすることはできないのですが、その人の普段の排便回数よりも回数が明らかに減少していること、また排便回数はいつも通りでも排便量が少なく残便感があることなどが便秘の症状となります。

具体的には、次のような症状がいくつか組み合わさった場合、便秘と診断されます。

排便が2、3日に1度であっても、規則的で順調であり、満足感が得られるならば、それは便秘とはみなされません。
便秘の原因は個人によって異なりますが、食事や運動、生活習慣が慢性的な便秘に影響を与えることがあります。
また、過去に腸や腹部臓器に関する手術を受けた経験がある場合、腸の癒着が便秘を引き起こす可能性があります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群お腹の痛みとともに、便秘や下痢、おなかの張りといった排便にかかわる症状があって、受診して検査を受けてもどこも炎症や潰瘍のような目に見える悪い部分がみつからないと訴える患者様がいます。多くの患者様はそうした症状が排便によって軽くなります。
以前は神経性のものと片づけられてしまうことが多かったのですが、近年の研究で、腸の蠕動運動などの運動機能や、知覚機能がなんらかの事情で障害されて起こっていると考えられている、過敏性腸症候群という病気が疑われます。英語のIrritable Bowel SyndromeからIBSと略称されることもあります。
腹痛と便秘がからむ便秘型、通勤電車などで突然腹痛をおこす下痢型、便秘と下痢を繰り返す混合型、お腹が張りおならが止まらなくなるなどの分類不能型の4つの型にわけられています。
はっきりした発症の原因はわかっていませんが、ストレスや薬剤の影響などから自律神経のバランスがくずれてしまうことが発症要因の一つと考えられています。
過敏性腸症候群は、日本では人口の1~2割が罹っているといわれるほどポピュラーな病気で、便秘型は女性、下痢型は男性に多く、腹痛は左下腹部に多い傾向があります。
特に生命にかかわる疾患ではありませんが、便通に関係することだけに日常生活の質が大きく低下してしまいます。
治療は消化器内科で行いますが、気長にゆっくりと治療を続けていくことが大切です。

腸閉塞

腸閉塞は、腸のどこかが詰まってしまい、そこから先に食べものや液体、ガスなどがほとんど、または完全に進めなくなってしまう状態です。
本来であれば、胃で溶かされた食物は、小腸でゆっくりと消化吸収されたのち、大腸で残りの水分を吸収されてほどよい硬さの便となって肛門から排泄されます。
その際、小腸か大腸のどこかで、なんらかの原因で深刻な通過障害が起こると、消化物や水分、胃腸で発生したガスなどがその部分で溜まってしまい、激しい腹痛とともに、お腹の張り、吐き気や嘔吐といった症状が現れます。閉塞が下行結腸からS状結腸あたりで起こると左下腹部に痛みなどの症状が現れます。
閉塞の原因としては、腸管などを手術した手術創の癒着、鼠径ヘルニア、大腸がんによる癒着などで物理的に腸がふさがってしまう状態のほか、重篤な便秘が原因となるもの、腸管が機能的に麻痺してしまい蠕動運動が停止して閉塞が起こることもあります。
いずれのケースでも、適切な治療が受けられない場合、詰まった部分に血流障害がおこり腸管が壊死してしまうこともあるため、緊急治療が必要となります。

腸炎

腸炎は、腸に炎症が起こっている状態です。炎症の原因は様々で、細菌やウィルスなどの感染によるもの、薬物や化学物質などによるものの他、虚血性大腸炎という一時的な腸への血流障害から急激に炎症を起こしてしまうものまで、様々あります。炎症が胃までおよんでいる場合は、胃腸炎と言います。
症状は腹痛の他、下痢、嘔吐などが主なもので、S状結腸で炎症が起こると左下腹部痛となります。なお、虚血性大腸炎はS状結腸が好発部位です。突然の腹痛のあと、血便がでたなどの症状が起こったら、すみやかに消化器内科を受診してください。
感染性の腸炎の場合、吐瀉物や便に病原体が混ざっている可能性がありので、十分に注意して始末してください。
また、薬物の場合、特に抗菌薬などを飲み始めて腹痛が起こった場合などは注意が必要で、自己判断で休薬すると耐性菌ができたりしますので、必ず処方した医師と相談して下さい。

大腸憩室炎

消化管の粘膜がなんらかの理由で小さな風船のようにふくらんで、腸壁の中に袋状の穴ができてしまった状態を憩室といい、大腸でできた憩室が大腸憩室です。憩室があるだけであれば、特に問題はないのですが、その部分に便などが入り込んで炎症をおこすことがあり、その場合、腹痛や発熱、下痢などの症状が現れ、ときには血便が出ることもあります。
憩室の部分は腸壁が薄くなっており、炎症とは別に出血を起こしやすい傾向があります。その場合、炎症性のものではなく血便がでることもあり、これは大腸憩室出血という別の病気になります。
大腸憩室は、S状結腸によくできますので、炎症を起こした場合、左下腹部が痛むことが多いのですが、少ないとはいえ、上行結腸や盲腸などに起こる場合もあります。
炎症を放置すると、最悪腸管に穴が空いてしまう穿孔が起こることもありますので、お早めに医療機関を受診してください。
医療機関では、腹部エコーや腹部CT検査などで慎重に検査し、抗生剤の投与などで炎症を抑えますが、穿孔などの可能性がある場合は緊急手術となることもあります。

大腸がん

大腸がんは、早期にはほとんど自覚症状がありません。しかし進行してがんが大きくなってくると、その部分で便が詰まってしまい、腹痛をおこすことがあります。S状結腸は大腸がんの好発部位ですので左下腹部に痛みや違和感などが現れることがあります。
その他の症状としては、がん細胞はもろく壊れやすいのと同時に、まわりに微小血管をつくりやすい性質があり、便がこすれて出血し血便となること、便秘と下痢の繰り返し、便が細くなる、体重減少などの症状が現れます。
早期のうちに発見できれば、内視鏡だけの簡単な手術で完治できるのですが、進行させてしまうと、日常生活に大きな影響がでる事態となりかねない疾患です。大腸がんを早期のうちに確実に発見できるのは大腸カメラ検査だけです。40歳をすぎたあたりから、定期的に大腸カメラ検査をうけることお勧めしています。

女性特有の左下腹部に痛みがでる病気

左下腹部には子宮や卵巣が位置している関係から、女性が左下腹部痛を起こした場合、それらの疾患の可能性を疑う必要もあります。考えられる主な疾患について以下でお話します。

異所性妊娠(子宮外妊娠)

本来、受精卵は子宮内に着床し成長していきますが、なんらかの原因で子宮以外の場所に受精卵が着床してしまうのが異所性妊娠で子宮外妊娠とも言います。異所性妊娠は子宮近辺の様々な場所で起こる可能性がありますが、一番多いのが卵管に着床する卵管妊娠で、異所性妊娠の95%が卵管で起こると言われています。
妊娠の可能性のある女性が、突然下腹部痛を起こし、不正出血などがみられる場合、この異所性妊娠の可能性を疑う必要があります。
特に好発部位の卵管に着床した場合、非常に狭い場所で受精卵が成長しますので、卵管が破裂してしまい、激しい腹痛とともに大量出血が起こる場合があり、最悪の場合は失血によるショックで生命にかかわることがあります。
少しでも妊娠の可能性があり、このような症状を起こした場合は、できるだけ早く産婦人科を受診してください。

子宮内膜症

子宮の内側を覆っている子宮内膜が、子宮以外の組織にもできてしまうのが子宮内膜症です。子宮内膜は女性の月経周期と共に変化する組織ですが、子宮外にできた子宮内膜も月経周期と同時に変化するため、月経痛がひどくなるなどの月経困難症や経血量が多くなってしまう過多月経などを起こしやすくなります。
また、子宮外の子宮内膜が肥厚し月経とともに排出されない状態で癒着してしまうことや、経血が溜まってしまい、チョコレート色の袋ができてしまうチョコレート嚢胞となってしまうこともあり、それによって痛みなどの不調が現れます。またチョコレート嚢胞は稀にがん化することもあるため注意が必要です。
過多月経、月経困難症などがある場合は、子宮内膜症の可能性も考慮し、婦人科を受診して検査を受け、その後も定期的に経過観察をしていくようにしましょう。

卵巣茎捻転

卵巣は子宮の左右にあって、通常は靱帯で固定されています。この靱帯を軸にして卵巣が捻れてしまうのが卵巣茎捻転で、卵巣が卵巣嚢腫などの腫瘍によって通常より大きくなってしまうことで発症します。
捻転を起こしてしまうと、血管なども巻き込んでしまうため卵巣への血流がうっ滞し、放置するとその部分がだんだん壊死してしまうことになります。
症状としては、激しい下腹部の痛み、吐き気や嘔吐、発熱などがありますが、壊死をおこすとその部分の機能が回復しなくなるため、緊急に治療が必要な疾患の一つです。
卵巣に嚢腫などの腫瘍がある方はだれでもが発症の可能性があると考えられていますので、該当する方は、注意深く定期的な健診で経過観察を行い、少しでも症状を感じたらすぐに受診するようにしてください。

子宮筋腫

子宮を構成する筋肉からできる良性の腫瘍が子宮筋腫です。子宮の内側、子宮の筋肉の中、子宮を取り巻く漿膜の部分とできる部分によって症状も異なります。
それほど珍しい病気ではなく、成人女性の2~3割が子宮筋腫をもっていると言われています。
子宮筋腫は女性ホルモンの影響で大きくなったり小さくなったりしますので、閉経までは大きくなり、閉経後は退縮していきます。
主な症状は、月経痛などの月経困難症と経血の増加などで、不正出血が見られる場合もあります。痛みは下腹部が圧迫されるような鈍いもの、だんだん痛みが強くなってくるものなど様々な現れ方があります。下腹部痛が一般的ですが子宮筋腫のできた場所によって左下腹部痛が現れることもあります。

下腹部の痛みの原因を調べるための検査

血液検査

血液検査血液検査では、炎症の有無や程度、貧血など血液の状態、腎臓や肝臓などの状態がわかります。炎症反応があれば、なんらかの病原体による感染が疑われ、腎臓から膀胱へ至る尿管に結石があれば、腎臓の状態をあらわす数値に変化があることもあります。また、腹痛をおこす要素として胆のうが炎症を起こしていることや胆石があるケースも想定し、肝臓の数値も確認します。強い腹痛がある場合、一般的に血液を調べるとなんらかの異常が見つかります。

腹部レントゲン検査

X線の透過と反射を利用して体内の状態を調べる検査です。内視鏡検査が難しい小腸の状態や、大腸のねじれがないかなどを確認できるほか、様々な情報を画像情報で得ることができます。腸閉塞や大腸カメラ検査が難しいケースにおいて有効です。

腹部エコー検査

腹部エコー検査お腹に医療用のジェルを塗って、プローブという超音波を受発信するハンドピースでやさしく超音波をあてる検査です。お母さんの胎内にいる赤ちゃんにも使えるほど無侵襲の検査です。超音波の透過と反射を電気信号に換えて画像化するため、レントゲンには映りにくい肝臓や膵臓、胆のうなどの消化器の状態を目で見て確認することができます。

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胃カメラ検査

胃カメラ検査口、または鼻から先端にカメラや照明、処置用の器具などがついたスコープを入れて、食道から胃、十二指腸までの上部消化管の粘膜の状態を、医師が直接観察することができる検査です。
検査中に疑わしい病変をみつけた場合、組織のサンプルを採取して病理検査を行うことや、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などで出血がある場合は止血処置なども可能です。
胃カメラ検査というと、つらい、苦しいなどと思ってしまいがちですが、当院では最新の内視鏡装置とスコープを使用しており、また内視鏡検査に精通した医師が検査を行いますので、ほとんど苦痛を感じずに検査を受けていただくことができます。
ご希望の方には、鎮静剤を使ってうとうととしている間に検査受けていただくことも可能ですので、遠慮無くご相談ください。

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大腸カメラ検査

大腸カメラ検査下腹部痛がある場合、大腸に原因があるケースが多いため、大腸カメラ検査が有効です。大腸カメラ検査は肛門からスコープを挿入し、大腸全体の粘膜の状態を医師の目で直接観察することができます。
前がん病変である大腸ポリープや、早期の大腸がんはほとんど自覚症状がありません。便潜血検査などでは出血のある場合しか発見できませんので、大腸カメラ検査は唯一それらを早期のうちに発見できる検査です。
また、検査中にポリープが発見された場合、その塲で切除することで、それによって、大腸がんを予防することもできます。
当院では、鎮静剤を使用して眠っているような状態で検査をすませることができますので、お気軽にご相談ください。

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下腹部に痛みがでている場合は当院まで

下腹部には大腸をはじめ様々な臓器が位置していて、ちょっとした冷えなどで調子を崩して痛みを感じる方も多く、また女性は月経痛があるために、つい、胃腸薬や鎮痛薬などを服用して我慢してしまいがちです。
しかし、痛みは臓器の障害のサインでもあり、場合によっては思わぬ障害が隠れているケースもあります。痛みが続いている場合や、いつもと異なる痛み方をしているような場合はもちろん、普段の痛みでも、我慢せずに当院までご相談ください。
当院では、女性の方でも来院しやすいように、待合は個室になっております。また、Webでは24時間予約を受け付けており、LINEからのご予約も可能です。

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